■ 本との出合い この人生2020.6.4


『福井新聞』2019.5.14付の人物紹介欄「ワンダフルライフ」は、加藤諦三を取り上げている。
(加藤諦三:早稲田大学名誉教授、ニッポン放送のラジオ番組『テレフォン人生相談』のパーソナリティを40年以上務めている)
その記事の中で、加藤諦三のことを次のように書いている。
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20代だった65年、自らの人生論を記した「俺には俺の生き方がある」がベストセラーに。
「俺には俺の、おまえにはおまえの人生があるのだから、誰とも比較せず自分の人生を生きようと。半世紀以上たちますが、今も同じ姿勢です」と笑う。
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私が、加藤諦三の「俺には俺の生き方がある」(大和書房)に出会ったのは、1969年8月、高校3年、17歳のときだった。
なぜ明確に覚えているかというと、そのタイトル「俺には俺の生き方がある」が衝撃的だったのと、本の内容が全篇にわたり自分にドンピシャリ!フィットしたからである。
それと本の中で引用された、キリストの言葉「人の気持ちに汝の人生を売ることなかれ」が大いに気に入り、スケッチブックに描いた自画像にその言葉を書き添えたものが今でも残っていて、そこに69.8″と記されているからである。

17歳の青春時代に出会った1冊の本が、その後の自分の人生を決めてしまう。
青春とは純粋で、若さとは素直で、出合いとは怖くもあり素敵なことだ、と改めて、そしてつくづくこれらを実感せずにはいられない。
私は、この本に出合ったことに感謝している。

残念なことに、この本を読んだ後クラスの友人に貸すと、それっきり戻ってこなかった。
その男は本でもレコードでも、平気で又貸ししてしまうような奴だったのだ。
分かっていても貸してしまうのが、若さという脆さ未熟さなのだろう。

どうしても手元に置きたくなって、4年前(2016.8.29)Amazonで古本を購入した。
すると何となく違和感があり、あの当時のものと違うようなのである。
どうにも初めて手にしたときの感激が蘇らないのである。
なぜかと考えた。
表紙が一面加藤諦三の顔だが、自分があのとき買ったのは顔など載せてなく、タイトルとちょっとしたイラストか図形だったように思う。
ハードカバーで手に持った感じが硬くて親しみがない。
あのときのものはソフトカバーで手に馴染みやすかったはずだ。

そこで奥付を確認すると次のように書かれている。
 一九六九年 五月一〇日 第一刷発行
 一九七三年一一月二〇日 新装第五四刷発行
これによると、確かに第一刷は1969年5月10日発行となっているから、自分が買ったのは3か月後の69年8月で間違いない。
ところが途中から新装版になり、この古本は73年11月に54刷として発行されている。
新装版になった際にソフトカバーがハードカバーに変更され、表紙カバーも大胆に変わったのだと思われる。

余談ではあるが、価格は550円とある。
自分が買ったのは69年だったので、これより安かったかも知れない。
ちなみにAmazonでは、送料込みで1,549円もした。
この本は絶版になっているので仕方がないだろう。

改めて読みなおしてみると、17歳、高校3年の頃に想いがめぐり、胸が赤面し熱くなるのを覚えた。
そして、あの頃に帰りたくはないけど、ただその純な自分が懐かしく思われた。
どんなことが書いてあり、どんなところに魅かれたのか。
そのエッセンスを書き出してみました。

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◆幸福とは、自分自らが幸福と感じることである。
◆キリストはいった。「人の気持ちに汝の人生を売ることなかれ」……。
◆それぞれの人間が、それぞれの運命をもって生まれてきているのだ。……他人と同じように生きる必要は全くない。
◆人のことばかりを気にするよりも、自分なりの努力をし、自分なりに生きていく以外に、人生の生き方はない……。
◆人は他人の人生にまで責任をもてない。しかし他人の人生を批判する。……自分の人生に責任をもって自分なりに生きていく以外に手がないだろう……。
◆自分の考え、自分なりの思想―……自分なりの人生信条―をもつということは、……素晴らしいことなのだ。
◆本当の自分をさらけ出していないなら友達とつきあっていても気がはって仕方がない。
◆相手を認めつつ自己主張ができるようになった時、……対人関係の苦しみから解放されたような気がする。

2020.6.4




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