私には、自分が生きていく上での信条として、反省はしても後悔はするな″というのがある。
何かをやって失敗したり、辛かったり、悔しかったり、情けなかったり、嫌な思いをしたり・・・することがある。 そんなとき必ず、「なんであんなことやったんだろう。やらなければよかった」と、グジグジして落ち込んでしまうことになる。 そんな自分が嫌でいやで仕方がない。
やってしまたことに、さらに、グジグジが階を重ねて自分を責め立てるものだから、挙げ句の果てに鬱状態に追い込まれてしまう。 こうなったら立ち直るまでに大変な目にあうことになる。 最悪としかいいようがない。
なんでそうなってしまうのか。 やったことを後悔(=あとになってくやむ)するからである。 後悔先に立たず″ まさに、「起ってしまってから後悔してもどうにもならない」のである。
後悔しても何の解決にもならない。 それよりも、反省(=自分の心やおこないをかえりみる)することだ。 このことに気付いたことで、どうにか自分が救われるようになった。
反省することで、「何故あんなことになったのだろう。こんどはこうしよう」と、今後の改善につながり、希望が開けてくるようになる。 そんな自分にちょっぴりでも自信が持ててくる。
済んだことに後悔などするな。 それよりも反省することだ。 反省することで後悔を打ち消すことができるのだ。
『福井新聞』2019.10.13付の1面コラム「越山若水」は、後悔について書いている。 ここでは、「やった後悔よりやらなかった後悔」に関して論じているが、この歳(68歳)になったからこそのテーマだと思う。 そして何より身に堪えるのだ。
「越山若水」2019.10.13付
人間に後悔は付き物である。 それはどんなことですか? と問われれば、誰しも間髪を入れず一つや二つは答えられるはず。 いや、思い当たることが多すぎて困惑するかもしれない。 ▼米国の心理学者が大学生に後悔について質問してみた。 すると「試験で不注意なミスを犯した」「酔っぱらって羽目を外した」「車をぶつけてしまった」などの回答が目立った。 つまり自分が過去にやってしまったバカなこと、失敗した経験を挙げる傾向が強かった。 ▼ところが同じ質問を老人ホームのお年寄りに実施してみた。 すると結果はどうだったか。 意外にも「世界中を旅行したかった」「サルサダンスを習っておけばよかった」「何か楽器を弾きたかった」など、学生とは対照的、過去にやらなかったことを後悔したという。 ▼「やった後悔よりやらなかった後悔」。 人生経験が豊富なお年寄りが出した結論である。 そうと分かれば、自分に新しいチャンスが訪れたとき、しかしその判断に迷っているとき、どう行動すべきか答えは明白だろう(「この脳の謎、説明してください!」青士社) ▼新年度が4月にスタートして、早くも下半期に突入した。 半年間の反省を踏まえ、新たなチャレンジの時宜である。 何かを始めることに不安も多いが、前向きに取り組めば人生は充実する。 「やらぬ後悔」は避けるべし―。 先達のアドバイスである。
2020.5.31
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