新聞1面コラム欄の切り抜きは、スクラップブック76冊(5月25日現在)どれにも貼付してある。 それだけ興味ある内容のものが多いということである。 このコラム欄は切り抜いた紙片としての大きさが、貼り付けるのにほどほどで、整理しやすいのがありがたい。
スクラップする際、一番困るのは大きすぎるものだ。 新聞1ページとか、パンフレットなどの類いは、適当に切り分けたり、折りたたんだりしてなんとかおさめている。 小さなものは、貼り付けた紙片間の隙間を埋めるときに便利だ。
さて今回は、『福井新聞』1面のコラム欄「越山若水」のものです。 いつのものかは、日付がメモされてないので不明です。 そこで、前後にスクラップしてある上部欄外の日付入りのものから推測すると、2008〜10年4月頃のものと思われます。 10年以上前のものになりますが、内容はとても爽やかで嬉しく、今でも新鮮な思いで読むことができます。
このコラムは、役所が究極のサービス業であることを、改めてかつ明確に知らしめてくれる。 そして、あのマツモトキヨシの創業者が松戸市長だったことに驚くと共に、成功する人は役所にあっても有能で、サービス業の何たるかを理解し実践していたのだと、得心せずにはいられなかった次第です。
「越山若水」2008〜10年4月頃の記事
「おはようございます」「お疲れさまでした」―。 県庁を訪れると今、一階エントランスホールに若い職員が立っている。 そして明るい声であいさつをしてくれる。 ▼きのうから始まった新採用職員の受付研修。 応対マナーや県民の目線に立つことを学ぶ目的で今年が四年目。 春は主にあいさつ、秋は業務案内を中心に修業をするそうだ。 ▼あいさつと聞いて思い出す話がある。 もう四十年近く前、千葉県の松戸市は市役所を訪れた市民に「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と声を掛けることにした。 ▼「市役所とは市民のために役に立つ所」「市民はお客さま」という考えの市長の発案だった。 ところが市民課の女子職員が接客業じゃあるまいし、とどうしても従わない。 ▼課長があの手この手で何とか説得し彼女は渋々受け入れた。 次の日、早速「おはようございます」「ありがとうございました」と中年の女性に声を掛けた。 ▼すると女性は帰り際「いえ、いえ、きょうはお世話になりました。それにあなた、洋服の着こなしがお上手ね」とお褒めの言葉。 彼女はその後、市役所で最も応対が美しい職員になったという。 ▼ひと言のあいさつが潤滑油となり会話が生まれる。 あいさつの力は侮れない。 ちなみに時の市長は故松本清氏。 ドラッグストア・マツモトキヨシの創業者であり「すぐやる課」を設立した人でもある。
2020.5.25
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