■ スクラップブックから K投票権を考える2020.5.24


新聞1面のコラム欄は、毎日必ず読むようにしている。
『日本経済新聞』は「春秋」、『福井新聞』は「越山若水」である。

誰が書いたものか署名がないので分からないが、まさか1人で書き続けているということはないだろう。
それだと、年に数回の休刊日以外は、休みなしになってしまう。
いくらなんでも、そんな過酷なノルマを果たせる記者は、まさかいないと思う。
おそらく複数の人で担当しているのだろう。

担当者は四六時中、四方八方にアンテナを張り巡らし、タイムリーで内容のある材料を求めていることだろう。
それを決められた字数にまとめ、決められた時間までに書上げる。
仕事とはいえ、凄いとしか言いようがない。
だから私は、毎日ブログを書き続けている同業者S氏に対し、とっくに脱帽してしまっている。

今回はちょっと古いが、『日本経済新聞』「春秋」の切り抜きです。
選挙にはここ10年ほど行っていないが、このコラムをわざわざ切り抜いてスクラップしてあるのは、考えさせられるものがあったからだろう。
あれほど熱心に選挙に行ったのも自分だし、行かなくなったのも自分だ。
選挙について、今一度考え直してみたいと思っている。

「春秋」2014.12.14

 「消費税は所得が多い人にも少ない人にも等しくかかるからね」
「でも、国の借金を放っておいちゃいけないじゃない」。
地下鉄に乗っていたら、こんな会話が聞えてきたので驚いた。
話の中身ではなく、声の主にである。
カバンを背負って、半ズボンをはいていた。
▼どう見ても小学校の5、6年生といったところだ。
毎日、衆院選のニュースに目をこらし、学校や家庭でも「議論」しているのだろうか。
思えばいま行う選挙の結果は、この子たちが大人になるころの社会へとつながっていく。
国の財政のあり方を真面目に話す2人を見ていて、なんだか申し訳ないような気持ちになった。
▼法律の世界に「権利の上に眠るものは、保護に値せず」という格言がある。
民事上の時効を設ける理由の一つとされるものだ。
おカネを貸したのに、請求する権利を行使しないままでいるのなら、その貸しはなかったことになる。
衆院選の投票率が戦後最低に落ち込むとの懸念を聞けば、この格言が胸に迫ってくるようだ。
▼無風だろうが、大義がなかろうが、投票しなければなにも始まらない。
有権者の半数ほどしか参加しない選挙であるなら、「政治に関心がないので、適当にお願いします」が第1党ということになってしまう。
投票権があるのに眠り続ける人たちは、政治の側からはすでに「保護に値しない」と思われているかもしれない。

2020.5.24




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