全国紙の『日本経済新聞』と地元地方紙の『福井新聞』を毎日読んでいる。 以前、『日経流通新聞』(今は『日経MJマーケティングジャーナル』)も購読していたことがある。 したがって、新聞の切り抜きはこれら3紙のものが中心となっている。
これら新聞の切り抜きを調べてみると、それぞれバランスよくスクラップされている。 ところが、前回までの「スクラップから」に取り上げているのは、『福井新聞』のものが多いようである。 なぜそうなってしまうのか。 『日本経済新聞』や『日経流通新聞』は、仕事上の購読なので記事そのものが、ここで取り上げるにはそぐわないからだ。 でも、中には肩の凝らない切抜きもある。
そこで今回は、『日本経済新聞』土曜版「NIKKEIプラス1」からの切り抜きを紹介しよう。 「その違い わかりますか」というシリーズで、蘊蓄(うんちく)に富んでいて興味深くなかなか面白いので、切り抜かずにはいられなかったのです。 みなさん、ぜひ読んでみてください。 なお今回は、記事のポイントだけを書き写してあります。
その違い わかりますか ライター 松田亜希子
@「ピクニックとハイキング」―野外での食事か、野山歩きか―
ピクニックとは野外に出かけて食事をすること。 ハイキングとは自然を楽しみつつ野山などを歩くこと。 つまりピクニックは食事、ハイキングは歩くことに重きが置かれているのだ。 言い換えれば、行った先で楽しむのがピクニック。 行くまでの過程を楽しむのがハイキングというわけ。
A「林と森」―「人が生やしたのが林」の説―
辞書を引くと、林は多くの樹木が「生えている所」、森は「茂っている所」との説明。 なんとなく森の方が鬱蒼(うっそう)とした感じはするが、明確な違いはないようだ。 「日本の林業では、人間の手が入ったのが林、自然に生えているのは森として区別する場合があります」 このため林の語源は「生やし」、つまり人の手で木を生やした場所との説も。 一方、森の語源説には「盛り」がある。 「森はこんもり盛り上がっているものを指すことが多い」 どちらかというと林は身近、森は奥深く神聖な感じがするのもうなずける。
B「ぼたんとしゃくやく」―木か草か、いずれも有能―
漢字で書くと、牡丹と芍薬。 どちらもぼたん科ぼたん属で、花冠(かかん)の大ぶりで華やかなところがよく似ている。 ぼたんは木、しゃくやくは草という違いがまずある。 ちなみにどちらも漢方薬の原料として、中国から伝来した。 ぼたんは根の皮部分が血の巡りをよくする薬として、しゃくやくは根が鎮痛剤として主に使われる。
C「里山と山里」―人里近い山か、山奥の農村か―
山里とは、山中にある人里のこと。 つまり山奥にある集落、農村のことだ。 里山は人里近くにあって、人々の生活と結びついた山や森のこと。 原生林など手つかずの自然におおわれた奥山に対し、人の営みと自然が共存する場のことをいう。
D「もみじとかえで」―植物分類上は同じ意味―
紅葉にはこうよう、もみじと2通りの読み方がある。 どちらも晩秋に草木の葉が赤や黄色に色づくこと。 もみじという言葉は、かえで(楓)の別称でもあるのをご存じだろうか。 赤く色づく葉の中でも、かえでがとりわけ美しく、いつしかもみじといえば、かえでのことをいうようになった。 つまり、かえではもみじの一種であり、その代表的存在であるがゆえに、もみじと呼ばれるということ。
E「粥と雑炊」―水煮の生米か、だしで煮た飯か―
粥は生の米類を多めの水でやわらかく煮たもの。 味を付けず具の入らない白粥が基本だ。 雑炊は炊いたごはんに具を加え、しょうゆや味噌などで味付けした汁でやわらかく煮たもの。 おじやともいう。 つまり粥と雑炊の違いは基本的に、生米を水で煮るか、炊いたごはんをだし汁で煮るか。 雑炊はかつて増水とも書かれ、貴重な米を汁気でふくらませて食べる経済的な食べ物だった。 これは水増し″によって、普通に炊くよりボリュームアップする粥も同じだろう。
2020.5.20
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