このシリーズ「スクラップブックから」ですが、今回で7回目となりました。
スクラップブックを開くと、これもあれもと紹介したい切抜きが、いくらでも出てきます。 それはそうだと思います。 どれも自分が気に入っている=内容の宝庫だからこそスラップしてあるのだから。 それにしても、74冊すべてをチェックするのは、容易ではないので困っています。
今回は、『福井新聞』の切り抜きからです。 「教育みち案内」と題して、Q&A形式で、高校1年生の「勉強って何のためにするのか」という問いに対し、福井大学の先生が答えています。
「勉強はなぜするのか」は、誰でも解っているようで、案外明確に答えられない疑問だと思います。 でも人間にとって、大きくて大切なテーマである筈です。 改めて考え直し、自分なりの意義を見出したいと、強く思わずにはいられません。
―教育みち案内― 勉強って何のためにするの 「覚える」だけが学びではない 福井大教職大学院教授 松木健一
[Q]ぼくは高1ですが、勉強が嫌いです。 親は「将来困るから勉強しろ」と言います。 確かに英語は大切だと思うけれど、僕が大人になったころは便利な携帯アプリが開発されていて、リアルタイムで翻訳してくれるのではないですか。 今だって結構便利です。 そう思うと、必死に英単語を覚えることが、あほらしく思えてくるのです。 勉強って何のためにするのですか。
[A]大学で教育に携る者として、あなたの質問から逃げるわけにはいきませんね。 私の思うところを正直に答えたいと思います。 今世紀は知識基盤社会と言われています。 この社会は知識を消耗する社会で、知識が生み出される速度が速く、逆に、あなたが言うように、これまで使っていた知識があっという間に役立たなくなってしまう社会だと言われています。 しかし、だからといって「学ぶ」活動が不必要になるわけではなく、かえって、これまで以上に知識が必要になる社会なのです。 なぜかというとコンピューターのように「覚える」ことだけが学びではないからです。 現実の課題に即して考え、判断し、対話して考え、表現するような正解のない課題に取り組む力が、時代が求める学力なのです。 この学力の育成をめざし、これから学校の授業や大学入試の方法が大きく変わってきます。 (実はどの時代も、本当は同じような資質能力の育成を目指していたのですが、それがうまく表現できずに来ました) ところでちょっと話がずれますが、あなたは、幸せってなんだか考えたことがありますか。 幸せって、はかないものです。 特に他人から与えられたそれは、瞬時に消えてなくなってしまいます。 一番確実な幸せは、きっと、学び続ける過程の中にあるのではないかと思います。 もしかしたら、学ぶこと自体、つまり、学ぶことで逆に不思議に思えることが増えること自体が幸せなのかもしれません。
2020.5.19
|