■ 信州蕎麦で年越し2025.12.31


今年も、年越しそばは信州蕎麦だ。
娘の会社の先輩が長野に住んでおり、毎年送ってくれるのだ。

蕎麦といえば、男が打つものというイメージがあるが、その先輩は女性である。
自家の畑で栽培したものを、天日干しし、十割で手打ちする。
そのすべてを、先輩が自分の手でやるというから驚く。

蕎麦打ちするときは、その日の気温や湿度に応じて水加減する、プロ顔負けの拘りというから凄い。
よくもまあ、こんなに細く蕎麦切りしたものだ、と見事な仕上がりに感心してしまう。
不味かろう筈がない。

大根とネギまで添えられている。
もちろん先輩が自分で作ったものだ。
その完璧な心配りがありがたい。

心尽くしの蕎麦だ。
最後の茹で″で失敗してはいけない。
緊張する。
大きな鍋にたっぷり湯を沸かし、2人前の蕎麦をパラパラと落す。
茹で過ぎは厳禁だ。
タイマーを睨みながら1分で火を止める。

流し台のシンクに大きめの湯呑を3個並べ、鍋から直接蕎麦湯を注ぐ。
残りの茹で汁を捨て、冷たい水を注ぎ、ふたたびその水を捨てる。
もう一度冷たい水をたっぷり入れ、慎重に蕎麦のヌメリを洗い落す。

そして、すのこを敷いた大きな皿に盛り付ける。
このとき注意すべきは、大きくつかんで盛らないことだ。
箸で一口分だけ取りやすくするために、絡まないように少しずつ盛っていくのだ。
2人前なので大きな山ができた。
最後にきざみ海苔を程よく載せる。

よおし、腹一杯食べるぞ。

最初はざる蕎麦で食べることにした。
市販の麺つゆを猪口(ちょこ)に半分ほど注ぎ、ワサビを溶かし刻んだネギを一つまみ入れる。
蕎麦に盛ったきざみ海苔も猪口に移す。

まず、蕎麦を一箸つまみ、つゆを浸けずに口に持っていく。
信州蕎麦独特の野性味のある香りがいい。
口に入れるとザラツクような食感がこれまた野性的でいい。
蕎麦のほのかな甘みが口一杯に拡がるのがいい。
さすがに信州蕎麦だ。
旨い。

次に、猪口のつゆに半分ほど浸し、勢いよくすする。
野性味の蕎麦がダシの効いたつゆと薬味にからんで、絶妙のハーモニーを醸し出す。
旨い。
大盛りの半分があっという間に胃袋にすっとんでいってしまった。
猪口に残ったつゆに蕎麦湯を入れて味わった。

さあ、次はおろし蕎麦だ。
たっぷりおろしておいた大根に、麺つゆを遠慮気味に足し、刻みネギと削り鰹を散らす。
本来なら器に入れた蕎麦に、この手順で盛っていくのだが、既に蕎麦はすのこに盛ってしまっている。
だからざる蕎麦のように、大根おろしのつゆに絡めて食べることにした。

越前おろし蕎麦ならぬ、越前と信州がコラボした信州おろし蕎麦だ。
とはいうものの大根もネギも信州だから、純然たる信州おろし蕎麦ということになる。
何だかややこしいことになってきた。
そんなことより、これも旨かった。
信州育ちの蕎麦が、信州育ちの大根とネギと肩組めば不味い筈がない。

最後に蕎麦湯2杯をいただき、手を合わせた。
「ごちそうさまでした」

今年も最後の日が穏やかに過ぎ去ろうとしている。

2025.12.31




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