月刊誌『PHP』は、小さな版型でページ数も少ない。 内容は易しく分かりやすく温かさに満ちている。 手軽で税込300円だから財布にやさしい。 買ってから年数が経っても、読めば新鮮で心に語りかけてくる。 見た目と違って内容が濃いから色あせることがないのだ。 今回は前回に引き続き、裏表紙のコラム最新号(2025年12月号)のものを紹介したい。
「こころの声」
人はいつも心のままに生きているのだろうか。 余暇を楽しんでいるようで、実はなけなしの自由を消費しているだけ。 日常もさまざまな矛盾や葛藤を抱え、心中深くに本音を封じ込め、実は汲々と生きてきたのが現実では。
だから、やりたいことには「時間がない」。 挑戦したいことには「力がない」と、あきらめてばかりいる。
心の中の浅い層では日々の務めや人との関わりを気遣う声が行き交うが、深い層の、自分がめいっぱい叫びたい声こそ、発されぬままになりがちだ。
分別はたしかに大切だが、何もしない平安に安住すれば、心の奥の切なる声を、みずから押し殺すだけになるのではないだろうか。
人生は短い。 命を精いっぱい生き切るのが人生の醍醐味だとすれば、心の声を聴かぬままではよろしくない。
冷え込みが深まる年の瀬、師走の忙しさに追われても、時間を見つけ、一年を振り返り、心の奥底の声に、しっかり耳を澄ませること。 そして、その声が求めるまま、ずっとやりたかったことを、新年は素直に始めよう。
(神尾) 心のままに生きていけたら、どんなにか楽しく幸せなことだろう。 現役をリタイアした今、仕事のストレスから解放され、自由を謳歌している。 そうは云っても、嫌なことや腹立たしいこと、悲しいこと、悔しいこと、苦しいことはある。 人間社会に生きているのだから。
「時間がない」 確かに残された人生は確実にゴールに向かっている。 やりたいことの実現可能性と優先順位をしっかり意識し、残り少なくなっていく人生を大切に生きていきたい。 「力がない」 心身共に力の衰えを強く自覚している。 歳相応に、力相応に挑戦していくことが大切だと思っている。
仕事の束縛から解放されれば、めいっぱい叫ぶことができる。 だからと云って、それにも限度がある。 それなりに考えて叫んでいきたい。
「何もしない平安」 これはいただけない。 何もしない平安と、何かをする不安や危険、両者を天秤にかけどうするかを自分に問いかけ自分で判断するだけだ。 不安や危険を克服したときの至福ほどいいものはない。
残り少ない人生、心の声を聴き、次のように生きて行きたい。 頭を働かそう、身体を動かそう、刺激を求めよう、無理はよそう。
今年も残すところ1カ月半となってしまった。 その余りの速さに愕然としてしまう。 毎年のことだが、12月になったら1年を振り返り、年が明けたら1年の計を練る。 済んだことを振り返るより、先を計画する方がやっぱり楽しい。 やがて先を計画することが虚しくなるときがくるだろう。 そのときのための心の備えを、今から積み上げて行かなくてはと思っている。
2025.11.17
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