スーパーには雑誌が置かれている。 必ず立ち止まって確認するようにしている。
月刊誌『PHP』は、表紙に特集のテーマが分かりやすく書かれているのがいい。 気になれば必ず手に取って、パラパラとページをめくる。 これはと思えば買い物かごに入れてしまう。 税込300円が高いか安いかは、自分の価値観が決めてくれる。
『PHP』を読んでいて、案外見落としてしまうのが裏表紙のコラムだ。 500字ほどだが、毎号なかなかのことが書かれている。 今回は2012年6月号(税込200円)のものを全文紹介しよう。
「糧」
厳しい寒さが続くと、真夏のうだるような暑さが恋しくなる。 酷暑の日々が続くと、真冬の寒さが懐かしく思えてくる。
逆境に陥ったとき、周囲の支えを心からありがたいと感じる。 しかし、順境になれば、感謝の気持ちを失い、逆に、他人への不平さえ口にするようになる。
勝手なものである。 人間は過ぎ去ったことはすぐに忘れて、今おかれている状況に不満を抱く。
暑さ寒さならいずれ時期が来て緩んでくるけれど、現実にはただ嘆いても打開できないことが少なくない。 また、とかく不平不満を募らせるのが人情とはいえ、それでは心が暗くなるばかり。 人間関係もうまくいかなくなるだろう。
大切なのは、つらいことも嬉しいことも、すべての体験とそのときの感慨を十分に噛みしめ、一つひとつをしっかりと自らの糧にしていくことではないか。
そうしてこそ、困難には、今度も必ず乗り越えられると立ち向かう。 困っている人がいれば、自分が恩返しをする番だと進んで手を差し伸べる。 そんな力強く、人間らしい生き方ができるようになるにちがいない。
(神尾) 酷暑に嘆き雪の冬に嘆く。 あっという間に過ぎ去ってしまう春と秋を嘆く。 年中嘆いている自分が嫌で仕方がない。
暑さが過ぎればやるぞ。 雪が消え寒さが過ぎればやるぞ。 やっときたと喜んだ春と秋は束の間。 狂った気象が悪いと嘆く自分が情けない。
暑くてもやれることがある筈だ。 雪の冬でもやれることがある筈だ。 やるかやらないかは自分が決めることだ。
ただ嘆くだけではなんの解決にもならない。 嘆かないでどうすればやれるかを自分で考えることだ。 考えるだけでなくやることだ。 やることで成果を得ることができる。
嘆くな、腰を上げろ。 待っているな、前を向け。 一歩を踏み出せ、歩き続けろ。
2025.11.15
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