何気ない日常の中にも、ちょっとした嬉しい瞬間があるものだ。 それは、ささやかに過ぎることではあるが、大げさに今日も生きていてよかった、と思う瞬間でもある。
遅くとも5時にはトイレに起きる。 新聞2紙を持って布団に戻る。 一等最初に、福井新聞の「くらしの川柳」欄を確認する。 あわら市 神尾修二″の8文字が目に飛び込んでくる。 嬉しい瞬間だ。 年に70句以上投稿しているが3句ほどが掲載される。 迷惑を顧みず、写真を撮り仲間にLINEしてしまう。
朝食には、姉に貰った大根菜で和え物を作る。 炊きたてご飯にそれを盛り、大口を開けてかきこむ。 嬉しい瞬間だ。 大根菜の香りと歯ざわりが良く、味噌の旨味が追い打ちをかけるものだから、何杯もおかわりしてしまう。
食後には、ときどき洗濯する。 洗うものはないかとそこらを探し、洗濯機に放り込む。 ピッピィー″と鳴れば、籠を持って洗い上がりを取り出す。 晴れの日はベランダに、雨の日は車庫の2階に干す。 竿に並んだパンツやシャツを眺める。 嬉しい瞬間だ。 自分の心まで洗われたようで、笑みがこぼれてしまう。
スッキリして書斎の机に向かう。 パソコンを開き白紙のWordを睨む。 さあて今日は何を書こうか。 頭に中には薄雲が拡がるばかりで何も浮かばない。 新聞をめくってみたり、SCRAPBOOKを開いてみたり、花苦奏をほじってみたり・・・ やがて閃(ひらめ)くものがある。 それを熱いうちに文章に仕上げる。 嬉しい瞬間だ。 想いを文字にすることで心が整理され、その充実感がいい。
お昼は外に出ることもあるが、今日は昨夜作っておいたカレーだ。 何故だか、カレーは作ってすぐより一晩おいた方が旨い。 ご飯は普通だがカレーは多めに盛るのが常だ。 スプーンに大きくすくって、口一杯にほおばる。 嬉しい瞬間だ。 たまには水代わりに缶ビールを添えたりする。
午後はボンヤリ過ごし、気が向けば買い物に出る。 スーパーマーケット2店、ドラッグストア3店、ホームセンター、などをその日の気分ではしご買いする。 納豆と豆乳はA店、油揚げはB店、豆腐はC店、刺身はD店と決めている。 今日はD店で、大ぶりの赤エビが1パック税込500円ほどで買えた。 嬉しい瞬間だ。 サッと茹でて殻を剥きながら食べると最高に旨い。
夕方にはウォーキングだ。 履きなれたシューズで、お気に入りの宮谷川の堤防を歩く。 この時期は風が寒いので、町中の竹田川の堤防の方が快適に歩ける。 川面に群れ遊ぶ鳥たちを眺めて歩くのはいいものだ。 家に帰りスマホを確認すると8千歩になっている。 嬉しい瞬間だ。 目標の5千歩を超えたという、その達成感がいい。
風呂に湯をためながら、パジャマを用意し、布団を敷いたりする。 テーブルにコップと箸を出し、台所の調理台には食材を出し下ごしらえしておく。 水濡れ防止のカバーをかけた文庫本を持って湯船に身を沈める。 嬉しい瞬間だ。 藤子不二雄や石森章太郎の文庫本を読む。 漫画ではなくエッセイとか自伝などだ。 漫画ばかりか文章の筆力もすごいことに驚く。
風呂で汗を流せば冷えたビール″が待っている。 塩ひと振りした熱湯で赤エビをサッと茹でる。 熱い赤エビの殻を剥き口に放り込む。 旨い。 嬉しい瞬間だ。 コップに泡が溢れんばかりにビールを注ぐ。 その泡をフッと吹きやって一気に喉に流し込む。 プッファ〜 たまらん! ″ 最高に嬉しい瞬間だ。 この瞬間のために生きている・・・ようなものだ。
2025.11.3
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