■ 地区の役員はどうして決まるか2025.10.20


私が住む地区には74戸ある。
地区名は「中央区」という。
5、60年前に田んぼを埋め立て宅地造成された地域である。
私は44年前にここの住人になった「中央区一世」ということになる。
年上の一世が随分と亡くなり、70代のわれわれが年長者になってしまった。
二世三世が増えてきており、世代交代が着実に進んでいる。
地区の役員も世代交代が課題になってきた。

役員は区長・副区長・会計が三役として設置されている。
これまで三役は区の行政にあっての有識者が就任してきた。
事前に本人の了解を取りつけておき、新年度の定時総会で形式だけの選考会が推薦し、全会一致で選出された。
任期は2年となっているが、前区長は8年、現区長は6年務めてきている。

次の令和8年度定時総会では役員の改選を迎える。
これがなかなか難しくなっている。
従来のようなやり方では区長の引き受け手がいないのだ。
そこで現区長から今年令和7年度定時総会で提案があった。
「役員選考委員会」を設け三役を決め、定時総会で承認選出するというのである。
これに反対意見はなく、すんなりと決議された。

この決議を受けて、9月に第1回役員選考委員会が行われた。
委員会は区の7つの班から1名ずつと三役とで10名になる。
議題は選考委員長・副委員長の選出と今後の予定ということであった。
ところが委員会が始まると、いきなり区長から次の報告がされたのである。
「何人にも声をかけたが次の区長を受けてくれない」
「区長が決まらなければ区が消滅し近隣の区に併合されてしまう」
これには驚き呆れた。
区長は次の引き受け手がいないので、余程腹立たしかったのだろう。

すると40代の委員2名がその場の雲行きを変えてくれた。
「私たちはそのときがくれば区長をやるものと思っています」
「それまで現区長の次の世代がやるべきではないか」
すると、さすがにのらりくらりとしていた委員たちは、委員会の意味と重要性に目つきが変わってきたように思えた。

そして次の決議がなされたのである。
「60代で年齢順による1期2年の当番制で選考する」
「60代の該当者に次の委員会に出席してもらい協議する」

おかしな話だが、最後に委員長・副委員長が選出された。
副委員長はこれまで豊富な経験と実績のある現区長にお願いした。
区長は「他の人に」と投げやりともとれる口ぶりであったが、結果的に引き受けてくれた。

第2回役員選考委員会は、昨日19日に行われた。
前回決議したことに基づき、次の三役となる60代の該当者の参加を得た。
欠席者が数名いたものの、前回とは違い前向きな協議がなされた。
逃げようもない前回の決議が効いたのだ。
「60代で年齢順による1期2年の当番制で選考する」
追い打ちをかけるように、60代で現在の三役、会計の担当者が心強い発言をした。
「どうせやらないといけないのだから順番が来ればやる」

後はどんな順序でやっていくか、その順番表の策定ということになった。
そこで重要視されたのが、最も難しい区長の職務のスムーズな引継ぎだった。
すると、熱心かつ前向きな40代の委員2名が、順番表について具体的な検討をしてくれた。
さらに「順番が来ればやる」と言った現会計が、本音のところを述べてくれた。
「三役でも区長が何かと忙しいのであって、会計と副区長はそれほどでもない」
この意見を受けて、次の考えが提示された。
「区長は1期2年で交代し、会計と副区長は2期4年でもいい」

意外にも現区長が手のひらを返すことを言った。
「引継ぎのためにあと1年区長をやってもいい」
これには腰が浮くほど驚いた。
だれもが、まさか、そんな期待はしていなかった。
これで決まったも同然だ。

「次年度は現区長が引き続き区長を務める」
「副区長と会計は60代から選出する」
「次々年度の区長は副区長・会計の何れかが引き継ぐ」
このローテーションで順番表案を作成し、次回の委員会で諮ることにした。

どうにか具体的な形が出来てきた。
来月の第3回役員選考委員会では、順番表と当事者の承認を得て、決議することになる。
そこまでいけば予想外の上出来である。
はたしてどうなるか。
気掛かりは、今の区長を引き継ぐべき新区長予定者が欠席していたことだ。

2025.10.20




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