私たちの人生は、偶然と必然が綯い交ぜになってある。
【偶然】
『三省堂国語辞典第四版』 思いがけないようす。 ふと。たまたま。
『岩波書店広辞苑第三版』 何の因果関係もなく、予期せぬ出来事がおこるさま。 原因がわからないこと。 歩行者の頭に瓦が落ちてくる場合のように、ある方向に進む因果関係系列に対して、別の因果系列が交錯してくる場合。 ふと。たまたま。はからずも。
【必然】
『三省堂国語辞典第四版』 そうなることが決まっていること。 当然。きまって。結果として。
『岩波書店広辞苑第三版』 必ずそうなること。 一般に、何かがそれ以外にありえぬことをいう。
偶然と必然の違いは一言でいえば、偶然は「たまたま起こること」であり、必然は「必ず起こること」だ。 私たちの人生は「たまたま起こること」と「必ず起こること」で出来ている。
一歳年上のN君と竹馬の友になったのは、偶然だと思う。 たまたま同じ村に生まれ育った。 たまたま気心の波長が合って一緒に遊ぶようになった。 お互いに定期購読していた雑誌を交換して読んだ。 高校で馬術部に入ったのは、学校は違ってもT君が馬術部で頑張っていたからだ。
阪神タイガースのファンになったのは、偶然だと思う。 たまたま小学校でT君と同じクラスになった。 たまたま気心の波長が合って一緒に遊ぶようになった。 T君は熱烈な阪神タイガースファンだった。 小学5年生のとき、タイガース優勝を二人で教員室のTVを盗み見してから、自分もタイガースファンになった。
M君とK君という仲間が出来たのは、偶然だと思う。 たまたま三人は中学も高校も同じだった。 大学は別々だったけど、たまたま三人とも地元に帰り就職した。 たまたま三人の気心の波長が合って一緒に遊ぶようになった。 一緒に飲みに行ったし、バーベキューもキャンプもした。 M君は媒酌人を務めてくれたし、K君は披露宴の司会進行を務めてくれた。
会社を辞めたのは、必然だと思う。 親の縁故で入社した会社では総務部経理課に配属された。 仕事は嫌ではなかったが、部長や課長のサラリーマン根性が嫌で仕方がなかった。 自分の将来をこんな会社で終わるなど、あってはならないことだと思った。 必ず辞めるべくして辞めたのだ。
独立開業したのは、必然だと思う。 会社を辞めても再度サラリーマンになるのは絶対に嫌だった。 必ず税理士になるべくして税理士になった。 中小企業診断士になったのも仕事上の必然だった。 大学院に行ったのも仕事上の必然だった。
カミさんとの結婚は、必然だと思う。 仲間内では最初に結婚していたM君が紹介してくれた。 30歳を目前にし、結婚を焦っていたこともあり、相手は誰でもよかった。 それより、好きだった女(ひと)とは一緒になれなかったことによる、諦観が大きい。 必ず結婚すべくして結婚したのだ。
2025.9.12
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