人には「過去・現在・未来」がある。
人は現在を生きている。 その積み重ねが過去をつくった。 その積み重ねの上に未来がつくられていくのだろう。 過去・現在・未来の重さは「3:4:3」かと思う。
仕事を辞めて変わったのは、現在の比重が随分重くなったことである。 さあ、今日はどうして生きようか。 毎朝そう思って布団から起き出ている自分に気付く。 朝食を済ますと必ず仏壇に手を合わせる。 昨日の無事を感謝し、今日の無事を祈る。 過去・現在・未来は「3:6:1」になっている。
仕事をしていたときは、過去と未来が逆転していた。 未来が大きくて重かった。 過去の経験を踏み台にし、現在はそれ以上にステップアップすべきだ。 未来はさらなる高みを目指そう。 そのように生きていた。 過去・現在・未来は「1:5:4」だった。
人生を振り返ってみると、究極のところは自分との戦いだった。 他人(ひと)はどう思おうが、自分が自分に対してどう納得するかであった。 しっかりした自分の物差しを持って、自分の間尺に合う生き方をしようとやってきた。 それが自分の人生だと信じて生きていた。
そんな人生を振り返ることが多くなった。 このエッセイも、子供の頃のこと、好きだった女(ひと)のこと、仕事していた頃のことなど、済んだこと過去ばかりを書いている。
これからどうしようかと、5年先、10年先のことなど、未来は書いていない。 今日どうするかが精一杯で、未来のことなど考えている余裕などないのだ。 それよりも未来の絵など描いても、それこそ絵に描いた餅で虚しいだけだ。
さあ、頭を働かそう、身体を動かそう、刺激を求めよう、無理はよそう。 さあ、エッセイを書いて、本を読んで、歩いて、呑もう。
内面の生活さえ豊かならば人は幸福でいられる。 老いもひとりも恐れることはない。
2025.9.11
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