メモすべきことを思いつくのは、テレビを観ながら呑んでいるときが多い。 風呂に入っているときも結構多く、忘れてはいけないと風呂から上がり足だけ拭いて、電話機傍のメモ用紙に向かう。 布団の中でもよく思いつくものだ。
これらに共通しているのは、緊張感や雑念から解放され、頭がリラックスしているときである。 トイレも狭い個室で独りになれるので、思いつきそうなものだが、駄目だ。 排泄に集中するので、メモすべきことなど思いつく余裕がないからだ。
「走り書きしたメモ」今回は3回目になる。
H「人というものは良いことをしながら悪いことをする」
これはテレビのBS8で放送されている『鬼平犯科帳』の中で、主人公の鬼平こと火付け盗賊改め方の、長谷川平蔵が言ったセリフだったように思う。 正確なシチュエーションは忘れたが、火付け盗賊改め方に捕らえられた盗賊が、日頃は世間で人のために尽くす評判の良い男だった。 その男の矛盾を指摘したのだ。
確かに我々は電車で身体の不自由な人に席を譲ったりする。 その反面、行列に並ぶとき我先にと人を押し退けたりもする。 人には、分かっていても自分ではコントロールできない、本能というものがあるのだろう。
ズバリ人の本質を捉えた言葉だと感心して、メモしたのだと思う。
I「善と悪とがないまぜになった生き物 人の世もじんじょう 政治も同じか?」
「善と悪とがないまぜになった生き物」。 自信はないが、これも鬼平の言葉だったように思う。 Hの『鬼平犯科帳』の中でのセリフを、この言葉に変えて再度口にしたのだ。
「人の世もじんじょう」の「じんじょう」とは、漢字で書けば尋常″であたりまえ。ふつう″を意味する。 「政治も同じか?」とは、多くの政治家も、国民、都道府県民、市町村民のためにと善の心を持っているが、その一方で、裏金問題や秘書給与不正受給問題を起こす。 そのことへの疑問を書いている。
人というものは、どうしようもない矛盾の生き物だということ。 そして政治家への失望を、鬼平の言葉に託してメモしておきたかったのだ。
J「子供の頃から台所に立っていた。幸不幸は当人が決めることだ」
このメモには二つのことが書かれている。 そしてその関連性はまったくない。 おそらく「幸不幸は・・・」のメモをしようとしたとき手元に白紙のメモ用紙がなかったので、「子どもの頃から・・・」と書いてあったメモに書き足したのだと思う。
「子供の頃から台所に立っていた。」
農家に生まれたので、母は田畑に出ていて家にいないことが多かった。 村には店というものはないので、お腹が空けば自分で何とかしなければいけない。 炭火を起こしてかきもちを焼いたりしたが、火起こしからなので時間がかかる。
そこでジャガイモだけのカレーを作ったり、小麦粉を水で軟らかく溶きフライパンで焼き、具なしのお好み焼きのようなものを作りソースをかけて食べたものだ。 カレーは肉なしでも美味かったが、お好み焼き風のものはそれほど美味いものではなかった。
台所で包丁やフライパンを持つのは結構面白いと思った。 だから、野菜炒めのまねごとのような料理を作り、家族に食べてもらうこともあった。 そんなことをもっと詳しく書こうと思ってメモしたのだ。
「幸不幸は当人が決めることだ」
これは3週間前の8月10日の『福井新聞』に書かれていたものだ。 作家の由原かのんが「ふくい日曜エッセー時の風」で次のように書いている。 「経済的に恵まれ、孤独にならない程度の人付き合いがあれば、『お一人様』の暮らしも決して悪くないと思う。幸不幸は当人が決めることだ」 この言葉がドンピシャリ″気に入ったからメモしたのだ。
幸か不幸かは他人(ひと)が決めるのではなく、自分が自分の物差しで決めることだ。 高校3年のとき読み自分の生き方を決定づけた、加藤諦三著「俺には俺の生き方がある」にその旨のことが書かれている。
K「生まれ育った古里は自分の原点だ 18で離れたけど結局戻ってきた」
高校を卒業し都会で学生生活や資格試験の予備校生生活を送ったが、人や車が多いだけの都会には馴染めなかった。 「生まれ育った古里は自分の原点だ」と思い知らされ、「18で離れたけど結局戻ってきた」のだ。
姉の息子も都会での学生生活だったが、卒業してもそのまま都会で就職してしまった。 都会の生活が肌に合っているのだ。 本人はもう古里には帰ってくるつもりはないようだ。 それはそれでいいと思う。
この歳になって、「俺には俺の生き方がある」し「古里は自分の原点だ」と、改めて強く思う。 JでメモしたこととKでメモしたことが、意外にもここで関連性をもってくる。 書いてる者が同じだから自(おの)ずとそうなるのだ。 決して意外ではないことに気付く。
L「生老病死」 M「いくつになっても誰にでも想いを寄せる人がいるのではないだろうか? 金沢競馬」 N「宮谷川堤防を歩いていると出会う生き物たち」
2025.9.1
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