前回の「スマホ」「ウナギ」に引き続き、今回は「コメ」について考えよう。
【コメ】
「コメ 秋以降も高値か」 「JA 農家への前払い増額」
JAグループがコメ農家に前払いする「概算金」を前年より増額したことが25日、分かった。 概算金は、全国農業協同組合連合会(JA全農)の各都道府県本部が作付けの状況や消費動向を踏まえて決定。 毎年秋ごろ集荷の際に農家に支払い、卸売業者に高値で売れれば追加分を払う仕組みだ。 JA担当者は、「生産コストが上昇しており、営農継続を考えれば引き上げざるを得ない」と話す。 割安の備蓄米は、早ければ10月中には販売が完了する見通し。
「コメ高値続く公算大」 「作柄悪化なら さらに高騰か」 「集荷競争激化も 国産米離れの懸念」
大手スーパー関係者は「コシヒカリが好きなお客さまは価格に関係なく買う」と話す。 一方、日本チェーストア協会の担当者は「備蓄米が入ればすぐ売れる。銘柄米の動きは鈍い」と指摘し、購入層の二極化が進んでいる。 小泉進次郎農相は25日、概算金の増額に関し「生産者も喜べて、消費者も安心して買えることが不可欠だ」と、価格動向を注視する考えを示した。 農水省によると、コメを主力とする農家の平均年齢は70歳を超えている。 後継者不在のまま生産をやめる農家も多い。
《神尾》 「コメほど安いものはない」 「こんな美味いものを作るな(減反しろ)とはどうかしている」 昭和50年代の頃、父がご飯を食べながら呟(つぶや)いた言葉だ。 今でも忘れることがない。 米農家に生まれた者としては、昨今のコメ騒動を前向きに受け止めたいと考えている。
農業機械は目が飛び出るほど高くて生産コストが上がり、生産農家の高齢化は進むばかりだ。 後継者がなくて耕作放棄された田んぼが目立ち痛々しい。 政府自民党の長年にわたる農政の失敗(無能)が、この悲惨な状況を招いたのだ。
足元に火が上って、ようやくといおうか、あわてて自民党の農政族も何とかしなければ″と無能な頭にムチを入れ始めたようだ。 時すでに遅しといいたいところだが、そこは抑えて、成り行きを期待半分に見ていきたい。
とりあえずは、生産者米価が上るのは「良し」としたい。 問題はコメの卸売業者がJAを通さず、農家から直接集荷することが急増していることだ。 結果、JAの集荷率は26%に過ぎない。 卸売業者の独占が進めば、飲食業者や消費者はいいようにされてしまう。 したがって、JAにはコメのプライスリーダーとして市場の価格安定を図ってもらいたい。 そのためにも集荷率70%以上を目指し、全力を尽くしてもらいたい。
当面、JAはコメ概算金を60キロ40,000円程度に安定させるのが理想的ではないか。 そうすれば生産農家の収益力が向上し、離農者が戻って耕作放棄地が再生し、若い就農者が増えるのではないだろうか。 卸売業者との取引は必要最小限にし、飲食店や消費者への強固な直接販売態勢を構築することだ。 「農家あってのJA」から「飲食店・消費者あってのJA」へと、思い切った意識改革をすべきではないだろうか。
流通経路が「米農家 → JA → 飲食店・消費者」となることで、流通上の利益が削減され飲食店・消費者に還元される。 何かと矛盾する点や疑問点があるとは思うが、コメ騒動の究極的解決策は「生産者米価アップ」と「飲食店・消費者への直接販売」に尽きると考えている。
2025.8.28
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