■ 沖縄戦を忘れるな2025.6.25


終戦後80年ということで、新聞紙上には関連の記事が目立つ。
特に昨日24日の『福井新聞』は、興味深く読んだ。
少し長くなるが、二つの記事を紹介しよう。

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【表層深層】

80年目 沖縄慰霊の日″
戦禍の記憶どう受け継ぐ″
政府 防衛力強化、歴史軽視も″

「ありったけの地獄を集めた」と表現される地上戦を経験した沖縄の人々は戦後、平和を希求し続けてきた。

▽血にじむ努力
自民党の西田昌司参院議員が、資料館の「説明のしぶり」が「歴史の書き換え」だと発言。
その後、一応の謝罪はしたものの、月刊誌の寄稿では「事実は事実」と居直ったような主張に終始した。
ひめゆり平和記念資料館は、「国のために散った少女たち」といった殉国美談ではない実相を伝えようと元学徒らが参画した。
西田氏の発言は、「元学徒のみなさんが血のにじむような思いで展示をつくりあげてきた努力を踏みにじるものだ」。

▽地ならし
沖縄戦では米軍の無差別攻撃だけではなく、民間人虐殺など旧日本軍の蛮行が繰り広げられた。
だが政府により、1982年の教科書検定では旧日本軍による住民殺害の記述が削除された。
2007年には、文部科学省が軍による集団自決強制の記述を教科書から削除するよう求めた。
旧日本軍を免罪するような言説は、戦争への道を再び開きかねない。
西田氏の発言を受け「歴史改ざんに『ノー』と意思表示しつづけなければならない。

▽戦後100年へ
日米と中国の緊張は近年高まる一方だ。
米軍との連携も深化の一途をたどる。
沖縄戦で徴兵された渡口彦信さん(98)には、太平洋戦争で「捨て石」とされた歴史と、沖縄の現状が重なって見える。
玉城デニー知事は、「沖縄戦の事実をしっかりと伝えていくことは非常に重要な責任であり、今を生きる私たちの役目だ」と力を込めた。

【核心評論】

国家至上主義の危うさ″
誤った分析、沖縄に甚大被害″

県民の4人に1人が亡くなったと言われる沖縄は、なぜ本土の「捨て石」になったのか。

1945年2月、近衛文麿元首相が昭和天皇に「最悪なる事態はもはや必至」として戦争終結を求める。
だが昭和天皇は「いま一度戦果を挙げなければ」などとして退ける。
ソ連と中立条約を結んでいた日本は、和平の仲介役を依頼する。

「本土決戦」を主張する陸軍の声は沖縄陥落後も強くなる一方で、結局、昭和天皇による終戦の「聖断」は原爆投下後になった。
戦後27年間、米国施政下で日本と切り離され、在日米軍基地の約7割が今も沖縄に集中する遠因だ。

中国や北朝鮮の脅威が叫ばれ、台湾有事がささやかれ、危機はあおられる。
沖縄の知人からは「戦火が交わされれば、本土の『防波堤』となった沖縄戦の二の舞いになる」との不安が寄せられる。

「ひめゆり平和記念資料館」の展示を巡り「歴史の書き換え」と主張し謝罪した自民党の西田昌司参院議員はその後、月刊誌に寄稿し「事実を語った」と再び強調し「真の意味での日本の『独立』を果たす」必要性を訴えた。
国家至上主義が強くにじむ発言だ。
国民を犠牲にする国家の無謀を繰り返してはいけない。

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ロシアのウクライナ侵攻もイランとイスラエルの軍事衝突も、泥沼の様相を呈している。
アメリカはイラン核施設を空爆し、イラン・イスラエルが停戦合意したかに思えた。
だが、その後も完全な停戦には至っていない。
いま世界では戦争好きの中東ばかりか各地で争いが絶えない。
さらに戦争がしたくてウズウズしている国がいくつもある。
NATO加盟国の多くがトランプの求めに応じ、防衛費増額を表明している。
トランプは日本にも防衛費(軍事費)の大幅増額を求めてきている。
過去に世界のリーダーだったアメリカと旧ソ連は、トランプとプーチンが独裁軍拡悪政化に走っている。

わが国では参院選が来月20日に迫っている。
物価高対策が争点になるようだ。
だが、沖縄戦のことを忘れてはいけない。

2025.6.25




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