今日6月18日の『福井新聞』「こだまワイド」に、微笑ましくも素晴らしい投稿があった。
―――――――――― 夫の仕込みは子育てに似て 越前市 女性(62歳)
3月某日、リボンで飾られた大きな箱と花束を抱えて夫が帰宅した。 定年退職の日だった。 といっても、そのまま同じ会社で継続して働くのでいったん、ひと区切りの日だった。
その日をさかいに、ほぼ定時で帰宅するようになった夫。 ヘタすると私より早く帰宅する。 それなのに私が帰るまでチンと待っている夫。 私は帰宅して買い物してきた食材を片付け、洗濯物を乾燥機にイン。 ゴミの収集日に合わせてゴミを集めて…と夕飯を作る前のルーティンが決まっている。 ずっと実家暮らしの夫は何をしていいかもわからず、ボォーっとテレビを見ている。 「これはマズイ」と夫を仕込むことにした。
まずはゴミの収集日から…と地道に仕込むこと1カ月。 今では先に帰宅した時は完璧に夕飯前のルーティンをこなせるようになった夫。 「スゴイ、スゴイ」と褒め倒す。
あれ? 何かこれ、子育てしていた時に似てる。 褒めて夫を育てる、アリだわ。 ――――――――――
これはなかなかの文才だ。 まるで一編の小説を読んでいるようではないか。 仕込まれる夫の素直さが可愛げで、仕込む彼女のしたたかさに、思わず首肯してしまう。 立派な作品に仕上がっていると思う。 後日譚たる続編を是非読んでみたいものだ。 その際にはタイトルを一考して欲しい。
私の姉の夫は、家のことは全くと言っていいほど何もできなかった。 何から何まで姉におんぶに抱っこだった。 そんな人だから、姉がケガをして入院したときの慌てふためき様は可笑しかった。 スーパーに行けばカレールーをどっさり買ってくる。 レトルトカレーのつもりだったのだろう。 それにしたって、ご飯が炊けなければカレーは食べることができない。 幸い娘が近い所に嫁いでいたので、最低限の面倒は見てくれて何とかなった。
自分を振り返るとこれといって困ることはない。 炊飯器を扱い、お茶を淹れ、味噌汁を作り、流し台もきれいにする。 洗濯をして、買い物に行き、カレーを作り、風呂を準備し、布団を敷く。 普段からやっていることなので手慣れたものだ。 読み・書き・歩き・呑む、のリズムと同じことだから、大変だとは思ったことがない。
大事なことは、そんな日々がいつまで続けていけるかだ。 ケガしたり病気になったら、途端にそのリズムが乱れガタガタになってしまう。 そうなってはおしまいだ。 あと10年、元気で生きたいと強く願っている。 毎朝仏壇に向かえば、今日も一日無事でありますように″と手を合わす。 イランとイスラエルの軍事衝突や、ロシアのウクライナ侵攻のことを思えば、何気ないこの一日がなんとありがたいことか。
2025.6.18
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