今日13日の福井新聞の読者投稿欄「こだま ひろば」に感心した。 何に感心″したのか。 O氏(76歳)の投稿作品を読んでのことだ。
原稿用紙1枚(400字)に書かれた内容が、真綿に水が沁み込むように頭に入ってくる。 投稿として文章にそつがなくこれは名文だ″と直観したのだ。 全文を紹介しよう。
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「後世に残したい大切な『手紙』」
デンマークの国営郵便サービス「ポストノルド」が今年末で手紙の配達業務を終了するという。 400年にわたる同国の手紙サービスが幕を閉じようとしている。
以前、金沢のちいさな町を舞台にした「手紙」という映画をみた。 古谷一行さんと風吹ジュンさんが、30年間一途に郵便配達をする局員の夫婦役で出演されていた。 手紙は人と人を結ぶ大切なツールで、どんなに時代が変わっても残しておきたいものと、この作品から感じ取った。
郵政民営化という大きな転換期を経て、日本の郵便事業も大きく変わってきた。 料金は昨年10月に値上げされ、封書は110円、はがきが85円になった。 今年の年賀郵便物の元日配送物数は4億9100万通と前年比66.0%で、過去5年間で最大の減少率となっている。
日本でももしかして、ポストが消える日が来るかもしれない。
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曲がりなりにも文章を書く者としては、こういう文章が書けたらと願わずにはいられない。
後世に残したい大切な「手紙」について、海外の事例、「手紙」という映画、郵政民営化を通して、日本でポストが消える日が来るかもしれない、と憂いている。 これらのことが無駄なく、的確な文章で、読みやすく、分かりやすく、きちんと書かれているのだ。
この投稿者は相当な書き手だと見た。 76歳という年齢からすると、仕事はしていないのだろうと推察する。 現役のときは書くことに関する仕事だったのかもしれない。 まさか新聞社ではないと思うが、それに近い立場だったのか。 それとも書くことが好きで日々励んでいるのか。
大いに勉強させられた次第である。
2025.12.13
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