前日に引き続き、今日9日も、福井新聞の読者欄について書きたいと思う。
読者欄は「こだま ひろば」「キッズ こだま」「こだまワイド」の3つがある。 「こだま」は一般の投稿で、「キッズ こだま」はその名の通り小学生に限定されている。 いずれも毎日2名ずつ掲載される。 「こだま ワイド」は毎週月曜日、一頁に10名前後、多いときは12、3名が掲載される。
必ず目を通し、タイトルでこれはと思うものは、丁寧に読むことにしている。 「こだま ワイド」では、囲みになっているものが毎回2、3あるが、興味深い内容であったり、名文だったりするものが多いように思う。
さて今回は、今朝の「こだま ワイド」の投稿を紹介しよう。
――――――――――――――― 「来年は古希 密度を濃く」 Mさん(69歳)
来年2026年早々に古希を迎える。 年齢の10の位が「7」に変わるだけで視覚的に年を取ったなあと感じる。 長かったようでもあり、短かったようでもある。
いままでの人生は諸般の事情により、あまり自分の意志を通すことができなかった。 誰かが引いてくれたレールの上を逆らうことなく歩いてきたように思う。 もっと意志の強い自分であったならと、この年になっていまさらながら思う。 人並みに生きてこられたのが救いである。
これから先は何年生きられるか分からないが、今までの年数より短いのは確かである。 ならば、これからの人生をより密度の濃いものにしたいと考える。 必要により相談はしても、自分の意志で物事を決め実行に移すようにしたい。 いずれ来る終えんの時は穏やかに、ぜいたくなことはせず、幸せであったと思えるようにしたい。 残る人たちにこころより謝意を表すとともに、迷惑をかけたくないと思う。 ―――――――――――――――
これを読んで、この投書子はとても素直で正直で癖のない人″だと思った。
確かに70歳は歳を取ったと感じるが、そのことを「7」を視覚的に捉えて訴えているのが、ユニークかつ新鮮でとてもいい。 さらに、「長かったようでもあり、短かったようでもある」と、誰もが思うことを素直に書いているのがいい。
「自分の意志を通すことなく」「逆らうことなく歩いてきた」と自分を正直に吐露し、「意志の強い自分であったなら」と本音を書いているのが素直でいい。 しかも、それにも拘らず、「人並みに生きてこられたのが救い」と振り返っている。 変な癖がないのがとてもいい。
「これからの人生をより密度の濃いものにしたい」と考えている。 是非とも、そうしていってもらいたいものだ。 「自分の意志で物事を決め実行に移すようにしたい」と断言している。 是非とも、その強い自分を失うことなく、残り少なくなった人生を、自分のために生きていってもらいたいものだ。
「いずれ来る終えんの時は穏やかに」「幸せであったと思えるように」と書いている。 誰もが思っていることを、今更ながら、正直に素直に書いてくれているのがいい。 「残る人たちにこころより謝意を表すとともに、迷惑をかけたくない」と書いている。 誰もが思っていることを、今更ながら、正直に素直に書いてくれている。 当たり前に思うことを、ここまであからさまに書くことは、照れくさくてなかなかできることではない。
今日は一日、爽やかに過ごすことができそうだ。
2025.12.9
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