『日本経済新聞土曜日版・NIKKEIプラス1』の「なやみのとびら」は、相談者の悩みに作家や脚本家・エッセイスト・芸人・女優などのレギュラー回答者が答えるものである。 昨日3月7日の問答には、大いに考えさせられてしまった。
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【相談者:50代 女性】
大学生の子供が全く恋愛をしません。 異性でも親友になってしまうようです。 自分は恋愛体質だったので理解できません。 どうしたら自分を納得させられますか。
【回答者:著述家 湯山玲子】
恋愛できる人たちはもはや特権的な存在になっている気がします。
女性の社会進出や社会の意識が変わり、かつては「男らしさ」として女性が仰ぎ見、「女らしさ」として男性が心を揺さぶられた能力やセンスの正体がバレてしまい、自分にないものに憧れる情動はもはや過去のもの。 恋愛の大いなる動機である性も、ネットなどを通じ、現実の相手なしで処理できてしまう。
学生たちと話していて感じるのが「恋愛は危険な人間関係だ」という感覚です。 彼らが最も嫌うのが自分が傷つくことと、人を傷つけること。 フラれるという自己否定の可能性があるリアル恋愛には積極的になれない。
ただし、子供を産み育て、家族をつくりたいという欲求は彼らにもあります。 相談者の世代では「恋愛をし、心身ともに深い関係になってからの結婚」が世間相場でしたが、今では恋愛という前提は不要。 マッチングシステムでスペックを吟味してから相手を選ぶので、まるでお見合いのようです。
古い人間には理解不能な、恋愛不要の彼らにとって心地よい新しい人間関係の在り方で解決していくのだと思います。
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これを読んでいると、今の若者は異星人ではないかと違和感を覚えてしまう。
「恋愛をし、心身ともに深い関係になってからの結婚」 回答者が言うように、これが自分たち世代でも当たり前であった。
恋愛もせず、結婚もしない若者を何人も知っている。 「どこそこに素敵な人がいるからアプローチしたら」 そんな声掛けをしたことも何度かあった。 「面倒くさい」 「今のまま独りでいる方が気楽でいい」 そんな心の内が見え見えなのでがっかりしてしまう。
今の若者は、自分の世代の物差しでは測りきれなくなっているのだ。 そんな物差しで測って彼らに良かれと思い、あれこれ言ったり構ったりしてはいけない。 シラケた顔して遠ざかっていってしまうだけだ。
自分が恋愛するのでも結婚するのでもない。 恋愛も結婚も彼らがすることだ。 「子供を産み育て、家族をつくりたいという欲求は彼らにもあります」 回答者の言葉に安堵させられる。 そんな若者を信じて見守るだけしかないのだ。
2026.3.8
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