少子化が叫ばれるようになってから久しい。
昨年の出生数は過去最低だった。 2024(令和6)年 686,061人
日本総合研究所(民間)の試算では、今年の出生見込はさらに最低を更新するようだ。 2025(令和7)年 665,000人
過去にベビーブームというものがあり、その時生まれた人たちは、団塊の世代と呼ばれている。
第1次ベビーブーム(団塊の世代) 1947(昭和22)年 2,678,792人 1948(昭和23)年 2,681,624人 1949(昭和24)年 2,696,638人
第2次ベビーブーム(ポスト団塊の世代) 1950(昭和25)年 2,337,507人 1951(昭和26)年 2,137,689人 1950(昭和27)年 2,005,162人
第1次ベビーブームでは、今の4.0倍の出生数である。 第2次ベビーブームでも、3.2倍になる。
3日前、12月11日の『日本経済新聞』の「やさしい経済学」では、少子化の大きな要因は未婚化・晩婚化にあるとしている。 「求められる少子化対策D」として、明治大学准教授 鎌田健司氏が、「未婚状態の類型化分析」をしているのが、非常に興味深い。
1980年、20歳代後半の女性の未婚率は24.0%だった。 2020年、これが65.8%に上昇。 女性の高学歴化や就業化が進んだ時期と重なる。
1980年、完結出生力を測る50歳時未婚率(生涯未婚率)、女性は4.5%だった。 2020年、これが17.8%に上昇、なお、男性は28.3%である。
未婚化については、国立社会保障・人口問題研究所と東京大学の研究が参考になる。 25歳〜34歳の未婚者を経済的基盤、親密性基盤、結婚意欲の3要因で類型化している。 @「前駆型」結婚の前段階にある。 A「開放型」結婚を回避する。 B「剥奪型」結婚を望んでいるが、安定的基盤が整わないか親密な相手がいない。 C「離脱型」基盤を欠き結婚意欲も失う。
1980年代は、結婚を先送りする前駆型が増えた。 1990〜2000年代は、経済的基盤の欠如による剥奪型が増え未婚化が進んだ。 2010年代は、経済的基盤を欠く剥奪型と交際相手のいない剥奪型の増加による未婚化に変化した。 1980〜2020年で、最も多い層は結婚意思も経済的基盤もあるが親密な相手がいない剥奪型で、2020年に3〜4割程度である。
晩婚化も進んでいる。 1970年、妻の平均初婚年齢は24.2歳だった。 2020年、これが29.4歳に上昇。
婚姻が出生の前提である日本では、初婚年齢の上昇は子どもの数に影響する。 さらに、健康に出産できる能力は年齢とともに低下するため、晩婚化による不妊治療での出生が、2023年には1割を超えている。
さて、ここまで書いてきて暗澹たる思いになった。 果たして、少子化は改善されるのであろうか。 果たして、未婚化・晩婚化は改善されるのであろうか。 その糸口が見えてこないのである。
国は2003年から、少子化対策担当大臣まで置いて、この問題に当たっている。 すでに22年が経過している。 その間、増える気配さえない。 生まれる子どもは減りに減ってきている。
まるで北朝鮮による拉致問題と同じである。 われわれ国民は、北朝鮮拉致問題と同様、少子化問題も諦めなければならないのか。 政府の無能が余りにも情けない。
選挙公約で、高らかに、拉致問題解決を訴える候補者が出てこない。 高らかに、少子化問題解決を約する候補者が出てこない。
拉致問題はこのままいけば、拉致被害者もその家族も救われることなく、いずれはお亡くなりなってしまう。 そして、遠い過去の歴史に埋もれていくことだろう。 どこかの元拉致問題担当大臣は、「主権国家として全ての被害者を取り戻す。必ず解決する」と誓った。 拉致問題を、取り戻し、解決″した上での、過去の歴史にして欲しい。
ところが、少子化問題はこのままいけば、この国そのものの歴史を失ってしまう。 どこかで歯止めをかけ、出生数を増やさなければ、政治も経済も社会もやがて行き詰まり、機能しなくなってしまう。 国そのものが立ちいかなくなるのだ。
今年2025年は、この国においては昭和100年、戦後80年の歴史的節目の年だった。 さらに次の2125年は、少子化問題解決100年、わが国繁栄の歴史的節目の年にしなければいけない。
次の国政選挙では、少子化解決党″が訴え出てきて、国政になくてはならい重い政党に成長していってくれないものだろうか。 その際、党首は女性、党員は50歳までに期待したい。
2025.12.14
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