「唯川恵『男と女 恋愛の落とし前』新潮新書」
前回に引き続き、第3話から第5話について書こう。 今回も、その衝撃と過激に驚いていただきたい。
第3話 恋愛関係の基本は人間関係である ――仕事はできるが恋には幼稚な40歳
彼女は目鼻立ちの整った華やかな美人だ。 会社では責任あるポジションに就き、経済的に自立している。 そんな女性が、恋愛となるとどうにも幼稚になってしまう。 相手は、感情もあるし性格もある、育った環境も違うのに、それが受け入れられない。 恋愛関係の基本は人間関係である。 「自分に自信のある女性ほど、カップルが成立しにくい。年齢がかさみ、相手から断られる。出産などを考慮すると、男性側は結局若い女性を求める」
<神尾> 私の知っている女性がこれとよく似ている。 男好きのするそこそこの美人で、自分で会社を立ち上げ張り切っていた。 30歳を過ぎていて、臆面もなく「35迄には結婚して子供が欲しい」と周囲に言っていた。 それから13年余り経つが、結婚したとは聞いたことがない。 45、6歳にはなっているから、結婚はしても子供は難しいだろう。 それよりも、自己中心で押しの強い彼女は、若さを失くせば男は見向きもしなくなる。 男は一般的に、素直で謙虚さを持ち合わせた女性との結婚を望んでいる。
第4話 生身の男より虚像がいいこともある ――女の幸せより自分の幸せを選んだ53歳
53歳の直美さんは大手百貨店に勤めている。 「アイドルを身近に感じられれば、それだけで心の底から満足できました」 「半年前に、猫を買い始め、今は猫にメロメロです」 「基本がインドア派なので、家で本を読んだりするのが好きなんです。いちばん寛(くつろ)げるのが自分の部屋なので、ひとり暮らしが向いているんです」 とはいえ、多くの女性は次第に生身の男にシフトしてゆくものだ。 「足りないものは何もありません。今の暮らしで完璧です」 彼女は、人並みの人生ではなく、自分の人生を選んだ。 女の幸せではなく、自分の幸せを選んだ。 彼女がいいならそれでいい。 誰にもとやかく言われる筋合いはない。
<神尾> この直美さんの生き方は、男の自分の生き方に重なるものがあり、驚いてしまった。 アイドルや猫に愛情を注ぎ、「足りないものは何もない」「今の暮らしが完璧」と言い切る。 ここまでは、なかなか言い切れるものではない。 53歳の女性が、自信をもって断言するからこそ説得力がある。 もし、彼女の生き方にとやかく言う人がいたとしたら、その人は自分の人生を選ばず、自分の幸せを選ばなかったからだ。 筆者が言うとおり、彼女がいいならそれでいいし、誰にもとやかく言われる筋合いはないのだ。
第5話 「相手と対等」をお金で測る危険性 ――経済力重視で三度離婚した38歳
会社勤務の葵さんは38歳、彼女の結婚観は「性格や顔よりも、お金を持っていることが重要」だという。 「人と対等であるためにも、お金のことはきっちりしていたい」という。 確かに、お金があれば、背負わなくてもいい苦労を回避できる。 愛とお金、どっちも大事、それは決して欲張りでも我儘でもない。 もし、夫からモラハラを受けたり、浮気されたり、DVや経済的DVに遭わされ、夫婦関係が破綻しても、自分で稼いでいたら別れられ、子供だって育てられる。 それでも、人はお金とは別に、心の拠り所を求めてしまう厄介な生き物である。
<神尾> 確かにお金さえあれば、安心であるし、大概のことは解決できる。 その逆にお金がないと、いつもビクビク、ドキドキするし、卑屈になってしまう。 人と対等に付き合うためには、お金に余裕をもっていることが求められると思う。 だからといって、お金の力で人間関係を有利にしようとか、自分が偉いなどと勘違いしてはいけない。 大切なことは、夫婦、親子、兄弟姉妹、恋人、友人などの間においては、愛情や友情が優先するということである。 なかなか難しい問題ではあるが、お金と愛情・友情は車の両輪であることは確かである。 どちらが欠けても、その関係性はうまくいかなくなってしまう。
2026.2.8
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