■ もう一つのお気に入り 蕎麦屋2025.12.11


昨日書いたカフェの他に、もう一つ、今年になって気に入ったところがある。
蕎麦屋だ。
旧芦原町の国道305号線沿い、JAが経営するファーマーズマーケットに連なってある。

週に1度は、お昼にこの蕎麦屋で食べている。
福井の県民食ともいえる「おろし蕎麦とミニソースかつ丼セット¥1,150」に決めている。
安くて旨いのだ。

不思議なことに、中に入ると左側がパン屋になっている。
表には蕎麦屋の表示はあるが、パン屋のことはどこにも掲示がない。
売り場にはパン屋の店名があり、レジは蕎麦屋と別だ。
経営が別なのに、珍しいケースといえる。

初めてこの蕎麦屋に入ったのは、7月に入ってからだったと思う。
自販機で食券を求め、カウンター越しに調理場の女性に渡し、空いた席を探すのだが満席だった。
「そちらの席に座っていただいていいですよ」
その女性が指を差して教えてくれた。
ありがたいことに、パン屋のスペースの窓際に、低いカウンター席が設けられていたのだ。
どうやらパンを買った客は、持ち帰るばかりで、ここで食べることはしないのだろう。

カウンターに腰掛けると、制服を着たパン屋の女性店員がやってきた。
「ここは陽射しが強いので下げますね。」
笑顔でブラインドを下ろしてくれた。
その仕草がテキパキとして眩しかった。
「すいません。どうもありがとう」
お礼の言葉が素直に口から出た。

この蕎麦屋の「おろし蕎麦とミニソースかつ丼セット」は、思いの外旨いので驚いた。
「蕎麦は福井産十割」との貼り紙がある。
名に違(たが)わず、太くて黒い武骨な手打ち蕎麦が、辛味大根のだし汁とネギと削り節と絶妙のハーモニーを奏でてくれる。
子供の頃、母が手打ちしてくれた蕎麦を思い出した。

かつ丼のとんかつは厚切りだが、ヒレ肉なので脂がなく軟らかい。
ソースは甘辛さが程よくとんかつによく合う。
この蕎麦屋が大いに気に入ってしまった。

それ以来、この蕎麦屋でのお昼が楽しみになった。
座るのは、調理場に向かった4つしかない、高いカウンター席に決めている。
他の客と目を合わせるのが嫌で、この方が気楽でいいのだ。

食券同様に水も給水器から自分で入れて、食べ終われば奥にある洗い場のカウンター口に、食器を返すシステムになっている。
すべてセルフというのも、余計な気遣いをしなくて済むのが気に入っている。

2025.12.11




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