■ 贅沢な時間 贅沢な空間2025.12.10


石川県との県境近く、国道305号線沿いの「道の駅 蓮如の里あわら」の向かい側に、「eXcafe吉崎鳳凰閣(イクスカフェよしざきほうおうかく)」がある。

京都の嵐山と祇園にある「eXcafe(イクスカフェ)」の姉妹店だ。
団子を小さな七輪で焼いて食べる「ほくほくお団子セット ¥1,540」が看板商品らしい。
148席もあるのに窮屈感の全くない、店内の広さに驚く。

このカフェに初めて行ったのは、今年8月16日、旧金津町の仲間と旧坂井町の仲間の墓参りしたときだった。
墓参りだけして帰ってしまうのが物足りなく、ドライブしようということになった。
仲間の墓から、芦原温泉街を抜け、波松の村を通り、芦原ゴルフクラブのコース脇を抜け、305号線に合流すれば、もう吉崎だ。
仲間は車で出掛けるのが趣味のような男で、あちこちの道路を隈なく走っている。
私はこの日のコースは初めてで、興味深く楽しいものとなった。
8月18日のエッセイで、この日のことを書いている。

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われわれは、この蓮如上人記念館に併設された「eXcafe吉崎鳳凰閣」で、お茶を飲みながら語らった。
目の前に広がる北潟湖と鹿島の森のパノラマが素晴らしく、心行くまで楽しんだ。
日頃ほとんど飲まないコーヒーが美味しかった。
仲間はアイスティをストローで、喉を鳴らしながら飲んでいた。
北潟湖水面のさざ波に目をやると、心が吸い込まれ、頭の中が空っぽになり、癒される。
550円の一杯で2時間以上も粘ってしまった。

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このカフェが気に入ってしまい、昨日も昼食を終えてから、一人で305号線をドライブし訪れた。
ドアに前に立つと2人連れの客が出て行った。
広い店内にはほかの客はいない。
どうやら自分だけの貸し切り状態になったようだ。

北潟湖と鹿島の森の絶好のパノラマを目の前に観る、ベストポジションといえる席に座ることができた。
センスのいいユニホームがお似合いの女性がやってきた。
「ホットコーヒー ¥550」を注文すると、スマホのカメラをパノラマに設定し、数枚撮影した。

コーヒーがきたのであわてて席に着き、撮ったものを確認した。
珍しく満足のいくものが撮れていた。
コーヒーの最初の一口が、いつも以上に旨かった。

自分一人の静かな店内に、外国語で流れるBGMが日常を忘れさせてくれる。

さざ波の湖面には、名の知らない水鳥が5羽6羽と遊んでいる。
その向こうには鹿島の森がこんもりとして、その右には塩屋の集落が、左には芦原ゴルフクラブのコースが見える。
鹿島の森の左端には、遠く、大聖寺川が日本海に流れ込む塩屋の海岸の防波堤が見える。
ときおり防波堤を打ち上げる白い波に、目を見張った。
ゴルフコースの下の湖岸には、引き上げられた白いボートが行儀よく並んでいる。

そんな風景に見とれていると、心が青空に浮ぶあの雲になったようでふわふわしてくる。

止まってしまったような贅沢な時間・・・・・・
全てを忘れさせてくれる贅沢な空間・・・・・・

至福の時はあっけなく終わった。
残酷に終わらされてしまった。

男女の2人連れ、学生だろうか。
大きな足音を立て近くの席に着いた。
間を置かずにベトナム人だろうか。
2人の若い男が、男女連れの隣りのボックス席に座った。

それらに追い打ちをかけたのが、三世代の家族連れ(と思われる)6人だ。
小さな子供が2人キャー ギャー″と騒ぐのだから堪ったものではない。

1時間のコーヒータイム、満足度120%は最初の20分だけ、中程の25分は70%、最後の15分は30%、になってしまった。

しかし、まあ、20分もの間、静かな店内と素敵なBGMを独占できたのだから、良し″としよう。

2025.12.10




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