■ 人口減少を恐れるな2026.2.28


『日本経済新聞2026.2.25』に、人口減少について興味深い記事が掲載された。
チーフ・エコノミクス・コメンテーター マーケティン・ウルフ氏が書いている。
そのポイントをまとめてみた。
読んでいただければ解ってもらえるだろう。
したがって、余計なコメントはしないことにした。

「人口減少は本当に脅威か」
「現役世代の負担増、吸収可能」

今日、出生率は人口の維持に必要な水準(人口置換水準)を下回るようになった。

1万2000年前の世界人口は500万人だった。
西暦0年時点では2億3000万人、1960年には30億人、現在は80億人だ。
地球から人類が消滅しそうにはない。
問題なのは、出生率が人口置換水準に満たなくなっていることだ。
特に中国などでこの傾向が著しい。

一般的に、地域や人々の経済力が高いほど出生率は低い。
大卒女性は高卒までの女性に比べて産む子どもの数が少ない。
経済的な繁栄こそが最も強力な避妊法なのだ。
都市化は、人口を地価がより高い場所に移動させる。
教育の大衆化は、子どもをすぐに使える生産的な資産から、コストのかさむ長期的な投資対象という位置づけへと変容させる。

資本市場、年金制度、福祉国家はどれも、子どもからの経済的支援に取って代わるものだ。
そして今や、子を産み育てる喜びとてんびんにかけられる、新たな楽しみが数多く生まれている。
これらの影響が、出生率の変化に表れているのだ。

出生率の低下が惨事を招くとされやすいのは、「従属人口指数」が急上昇するという考え方にある。

従属人口指数 = 15歳未満の年少者と65歳以上の高齢者の人口 ÷ 生産年齢人口

この計算方法では若者の多くが20代まで親に扶養されている点は見過ごされている。
また、高齢者が働き続ける可能性も無視している。
従属人口指数の上昇はそこまで大きくならない。

人工知能(AI)によって加速する生産性の向上も解決策の一つだ。
労働時間が短くなったのは、生産性が飛躍的に高まったからだ。
その結果、15歳以上が労働に費やす時間の割合が、60%減少した。
一方、1人あたりの生産量は15倍に拡大したという。
こうした傾向は、従属人口指数が若干上昇しても十分に対処可能だろう。

予測によると2100年まで、世界人口が減少することはない。
そのうえ今は働き手の教育水準が高く、女性が労働力に加わり、AIの恩恵も受けられる。
頭数より重要なのは、科学に対する支援など、イノベーションを後押しする環境を整えることだ。

出生率が持続的に高い国の経済成長が速くなるという証拠はない。
むしろ、所得の伸び悩みや大量失業を招く。
インドがその紛れもない証拠だ。
アフリカの多くの地域はさらに深刻な状態にある。

人口増にはコストが伴う。
地球環境に負荷がかかり、都市部の土地や住居の価格高騰といった弊害が出てくる。
実際、お金や不動産などの「地位財」を巡る競争は、人口が増えるほど激しくなり、減るほどやわらぐ。

つまり、人口の減少を恐れる決定的な理由は存在しない。
出生率が1を割り込めばさすがに問題だが、1.5以上であれば少しばかりの先見の明で万全に対応できるのだ。

2026.2.28




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