『日本経済新聞2026.2.25』に、人口減少について興味深い記事が掲載された。 チーフ・エコノミクス・コメンテーター マーケティン・ウルフ氏が書いている。 そのポイントをまとめてみた。 読んでいただければ解ってもらえるだろう。 したがって、余計なコメントはしないことにした。
「人口減少は本当に脅威か」 「現役世代の負担増、吸収可能」
今日、出生率は人口の維持に必要な水準(人口置換水準)を下回るようになった。
1万2000年前の世界人口は500万人だった。 西暦0年時点では2億3000万人、1960年には30億人、現在は80億人だ。 地球から人類が消滅しそうにはない。 問題なのは、出生率が人口置換水準に満たなくなっていることだ。 特に中国などでこの傾向が著しい。
一般的に、地域や人々の経済力が高いほど出生率は低い。 大卒女性は高卒までの女性に比べて産む子どもの数が少ない。 経済的な繁栄こそが最も強力な避妊法なのだ。 都市化は、人口を地価がより高い場所に移動させる。 教育の大衆化は、子どもをすぐに使える生産的な資産から、コストのかさむ長期的な投資対象という位置づけへと変容させる。
資本市場、年金制度、福祉国家はどれも、子どもからの経済的支援に取って代わるものだ。 そして今や、子を産み育てる喜びとてんびんにかけられる、新たな楽しみが数多く生まれている。 これらの影響が、出生率の変化に表れているのだ。
出生率の低下が惨事を招くとされやすいのは、「従属人口指数」が急上昇するという考え方にある。
従属人口指数 = 15歳未満の年少者と65歳以上の高齢者の人口 ÷ 生産年齢人口
この計算方法では若者の多くが20代まで親に扶養されている点は見過ごされている。 また、高齢者が働き続ける可能性も無視している。 従属人口指数の上昇はそこまで大きくならない。
人工知能(AI)によって加速する生産性の向上も解決策の一つだ。 労働時間が短くなったのは、生産性が飛躍的に高まったからだ。 その結果、15歳以上が労働に費やす時間の割合が、60%減少した。 一方、1人あたりの生産量は15倍に拡大したという。 こうした傾向は、従属人口指数が若干上昇しても十分に対処可能だろう。
予測によると2100年まで、世界人口が減少することはない。 そのうえ今は働き手の教育水準が高く、女性が労働力に加わり、AIの恩恵も受けられる。 頭数より重要なのは、科学に対する支援など、イノベーションを後押しする環境を整えることだ。
出生率が持続的に高い国の経済成長が速くなるという証拠はない。 むしろ、所得の伸び悩みや大量失業を招く。 インドがその紛れもない証拠だ。 アフリカの多くの地域はさらに深刻な状態にある。
人口増にはコストが伴う。 地球環境に負荷がかかり、都市部の土地や住居の価格高騰といった弊害が出てくる。 実際、お金や不動産などの「地位財」を巡る競争は、人口が増えるほど激しくなり、減るほどやわらぐ。
つまり、人口の減少を恐れる決定的な理由は存在しない。 出生率が1を割り込めばさすがに問題だが、1.5以上であれば少しばかりの先見の明で万全に対応できるのだ。
2026.2.28
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