朝目が覚めても、なかなか起き出すことができない。 冬はヌクヌクとした布団から抜け出せない。 夏は熟睡できずにグッタリして抜け出せない。
さあ〜やるか!″
そんなとき、母のこの言葉を思い出す。
中学1年のとき離れが建ち、自分の部屋が与えられた。 それまで両親と一緒に寝ていた。 母は家族で寝るのは最後で、起きるのは一番早かった。 そのとき必ず、両腕を伸ばしさあ〜やるか!″と自分に気合いを入れ、布団から抜け出すのだった。
農家の嫁の長い一日が始まる。 最初にやることは、かまどに火をくべご飯を炊くことだった。 米を研ぐのは前夜に準備してある。 日中は田畑に出て肉体労働だ。 晩ご飯(または晩飯(ばんめし)といった。夕ご飯とか夕飯(ゆうはん)とは言わなかった)を済ませば、繕い物などの夜なべ仕事だ。 終い湯(しまいゆ)を済ますと、誰よりも遅く布団に入るのだった。
そんな大変な毎日の始まりに、母はさあ〜やるか!″の汽笛一声を張り上げ、自分を鼓舞激励したのだ。
朝起き出せず愚図グズしているとき、母のさあ〜やるか!″を思い出し、そして励まされ、両腕を伸ばす。 気が付くとさあ〜やるか!″と声が出ている。 頭がスッキリすると、「今日はあれをしてこれをして」と、やるべきことを確認=計画する。 決まればスマホのカレンダーにそれらを入力する。 仏壇に手を合わせるとき、もう一度、今日の予定を復唱し一日が始まる。
仕事を辞めて早や2年になろうとしているが、毎日ヒマを持て余すということはなかった。 読み・書き・歩き・呑む、の4拍子を刻むのに忙しいのだ。
独り遊びばかりか、仲間や姉との交流もしている。 おかげで独りだけのマンネリがリセットされるし、何かと刺激を得られるのがありがたい。
頭を働かそう、身体を動かそう、刺激を求めよう、無理はよそう! 人生あと10年! さあ〜やるか!
2026.3.11
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