3月15日『日本経済新聞』の「直言Think with NIKKEI」を重く読んだ。
「軍拡競争、抑止力にならず」 ストックホルム国際平和研究所 カリム・ハッガク所長
これを読めば、世界は軍拡競争に走っていることがよく解り、戦争の恐怖に戦慄する。 思っている以上に、ハイレベルかつハイスピードで、今世紀最大の危機である。 だからといって、個人レベルではどうすることもできない。 先の衆院選で国民の大きな支持を受けた高市政権に期待するしかない。
記事の要点まとめてみたので、是非読んでいただきたい。 そのうえで、軍拡競争による世界平和の危機を重く受け止めて欲しいと思う。
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米国の指導力が低下し、ロシアのウクライナ侵攻や米国とイスラエルのイラン攻撃で安全保障環境は大きく変わった。 世界は旧来の抑止理論で安全を保てるのか。
@米軍とイスラエル軍がイラン攻撃した。
2003年の米国のイラク侵攻をネタニヤフ現イスラエル首相は後押しした。 18年のトランプによるイラン核合意離脱も安定を生み出すことはなかった。
A安全保障に不安を覚える国々が軍事費を増やしている。
世界の軍事支出は過去10年で大幅に増えた。 軍事支出の増加は紛争のリスクと、紛争時の破壊レベルを高める。
B伝統的な抑止理論は、十分な反撃能力が相手の攻撃を思いとどませるとされる。
抑止効果は軍事力増強に伴い生じるのではない。 抑止力は冷戦時代、核を手にした米ソの間に出現した。 現在の世界の安全保障環境ははるかに複雑で流動的だ。 複数の新興大国があり紛争の断層が各地に存在し、より危険で破壊的な技術、兵器がある。
C2月には米ロの核軍縮合意「新戦略兵器削減条約」が失効した。
より深刻なのは核兵器のデータ、配備場所などの知識が失われることだ。 それが新たな軍拡競争の原動力となる。
D中東での核開発ドミノが生じるのは悪夢だ。
中東は国際的に核保有が認められた核兵器国(米中ロ英仏)以外で初めて核拡散がみられた地域だ。 イスラエルが核を保有した。 中東全体の軍縮システムが必要だ。
E覇権主義国に囲まれた日本はどのように抑止力を高められるか。
敵対国のレッドラインを理解し、相手に自国のレッドラインを理解させる必要がある。
FAIの発展は古典的な抑止理論にどのような変容をもたらしているか。
リスクはAIが戦略的システム(核兵器)に統合されてしまうことだ。 もうひとつは宇宙技術など異なる技術との結びつきだ。 AIと他領域との技術連携が潜在的なエスカレーションの可能性をつくりだしてしまう。
《参考》エスカレーション=戦争規模の段階的拡大
GAI軍事利用は実際の戦場で進んでいる。
ガザでイスラエル軍は意思決定システムにAIを統合し、パレスチナ人を大量に殺傷した。 ウクライナではAI搭載の自律型兵器への移行がみられる。
H世界はAIの軍事利用のレッドラインを見失っていないか。
レッドラインとは政策の問題で、技術の発展に政策が追いついていないことだ。 明るい材料はAIの危険な影響への共通認識が存在することだ。 バイデン前米大統領と中国習近平は24年11月に核の指揮統制システムにAIを統合しないと確認した。 だがAIの軍事利用には多くの抜け穴があるのが現実だ。
I米国のベネズエラやイランへの攻撃など、ルールに基づく安全保障の秩序が揺らいでいる。
米国が旧来からの秩序の原則に公然と異を唱え、深刻な挑戦に直面している。
J米国こそ、グローバル貿易やドル通貨覇権など現行秩序の最大の受益者だったはずだ。
米国の外交・安全保障政策が転換期にあり、米国のナショナリズムによって後押しされている。 トランプはグローバル化、自由貿易、同盟の枠組み、国際規範や国際法といったものに米外交を結びつけて過去を拒絶している。
2026.3.17
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