■ 「男と女 恋愛の落とし前」B〜D2026.2.8


「唯川恵『男と女 恋愛の落とし前』新潮新書」

前回に引き続き、第3話から第5話について書こう。
今回も、その衝撃と過激に驚いていただきたい。

第3話
恋愛関係の基本は人間関係である
――仕事はできるが恋には幼稚な40歳

彼女は目鼻立ちの整った華やかな美人だ。
会社では責任あるポジションに就き、経済的に自立している。
そんな女性が、恋愛となるとどうにも幼稚になってしまう。
相手は、感情もあるし性格もある、育った環境も違うのに、それが受け入れられない。
恋愛関係の基本は人間関係である。
「自分に自信のある女性ほど、カップルが成立しにくい。年齢がかさみ、相手から断られる。出産などを考慮すると、男性側は結局若い女性を求める」

<神尾>
私の知っている女性がこれとよく似ている。
男好きのするそこそこの美人で、自分で会社を立ち上げ張り切っていた。
30歳を過ぎていて、臆面もなく「35迄には結婚して子供が欲しい」と周囲に言っていた。
それから13年余り経つが、結婚したとは聞いたことがない。
45、6歳にはなっているから、結婚はしても子供は難しいだろう。
それよりも、自己中心で押しの強い彼女は、若さを失くせば男は見向きもしなくなる。
男は一般的に、素直で謙虚さを持ち合わせた女性との結婚を望んでいる。

第4話
生身の男より虚像がいいこともある
――女の幸せより自分の幸せを選んだ53歳

53歳の直美さんは大手百貨店に勤めている。
「アイドルを身近に感じられれば、それだけで心の底から満足できました」
「半年前に、猫を買い始め、今は猫にメロメロです」
「基本がインドア派なので、家で本を読んだりするのが好きなんです。いちばん寛(くつろ)げるのが自分の部屋なので、ひとり暮らしが向いているんです」
とはいえ、多くの女性は次第に生身の男にシフトしてゆくものだ。
「足りないものは何もありません。今の暮らしで完璧です」
彼女は、人並みの人生ではなく、自分の人生を選んだ。
女の幸せではなく、自分の幸せを選んだ。
彼女がいいならそれでいい。
誰にもとやかく言われる筋合いはない。

<神尾>
この直美さんの生き方は、男の自分の生き方に重なるものがあり、驚いてしまった。
アイドルや猫に愛情を注ぎ、「足りないものは何もない」「今の暮らしが完璧」と言い切る。
ここまでは、なかなか言い切れるものではない。
53歳の女性が、自信をもって断言するからこそ説得力がある。
もし、彼女の生き方にとやかく言う人がいたとしたら、その人は自分の人生を選ばず、自分の幸せを選ばなかったからだ。
筆者が言うとおり、彼女がいいならそれでいいし、誰にもとやかく言われる筋合いはないのだ。

第5話
「相手と対等」をお金で測る危険性
――経済力重視で三度離婚した38歳

会社勤務の葵さんは38歳、彼女の結婚観は「性格や顔よりも、お金を持っていることが重要」だという。
「人と対等であるためにも、お金のことはきっちりしていたい」という。
確かに、お金があれば、背負わなくてもいい苦労を回避できる。
愛とお金、どっちも大事、それは決して欲張りでも我儘でもない。
もし、夫からモラハラを受けたり、浮気されたり、DVや経済的DVに遭わされ、夫婦関係が破綻しても、自分で稼いでいたら別れられ、子供だって育てられる。
それでも、人はお金とは別に、心の拠り所を求めてしまう厄介な生き物である。

<神尾>
確かにお金さえあれば、安心であるし、大概のことは解決できる。
その逆にお金がないと、いつもビクビク、ドキドキするし、卑屈になってしまう。
人と対等に付き合うためには、お金に余裕をもっていることが求められると思う。
だからといって、お金の力で人間関係を有利にしようとか、自分が偉いなどと勘違いしてはいけない。
大切なことは、夫婦、親子、兄弟姉妹、恋人、友人などの間においては、愛情や友情が優先するということである。
なかなか難しい問題ではあるが、お金と愛情・友情は車の両輪であることは確かである。
どちらが欠けても、その関係性はうまくいかなくなってしまう。

2026.2.8




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