「唯川恵『男と女 恋愛の落とし前』新潮新書」
著者はこの本で、女性側にスポットを当て、その問題を掘り起こしている。 ところが、それにより男性側の問題点も浮き上がらせている。 そこで、ここまで書いてきて、自分なりの男と女が掴めてきた。 男はどうしようもない生き物であり、女は一途で怖い生き物だということだ。
今回は、第8話と第9話について書こう。
第8話 「女としてこうあるべき」がはらむ危うさ ――夫の浮気癖にも筋を通す元ヤン妻44歳
44歳の直子さんは子が4人、25歳男、22歳男、15歳女、10歳女。 第1子出産は19歳である。 「あの頃は、かなりのヤンキーで、何度も家出して、親を泣かせました」 「実は旦那の浮気癖が治らなくて・・・・・・」 「相手の女の子に夫婦揃って頭を下げに行きました」 漢気(おとこぎ)があり、まるで任侠の世界のよう。 そんな夫に生理的嫌悪を感じたりはしないの? 「そこまではないですね。女にはだらしないけど、とっても優しくて楽しい人なんです」 そんな両親を見て、息子たちは「男は浮気して当たり前、妻は許して当たり前」、妻をないがしろに扱う夫にならないろうか。 娘たちは「男の浮気は許すもの、それが妻としての役目」としてきた母親に失望しないだろうか。
<神尾> 一般的な夫婦にとって、このような夫婦のあり方は、別世界の出来事である。 著者の言うように、まさに任侠の世界だ。 たとえそうであっても、4人の子供たちのことを考えると大変な悲劇だと思う。 どうにも、この元ヤンキー妻とその夫には、嫌悪観しか覚えない。
第9話 始まりはふたりの意志、終わりは片方の意志 ――何不自由ないのにPTA不倫におちた51歳
愛美さん51歳、既婚者で、中学2年のお嬢さんがいる。 PTAで出会った相手と「ラインを交換するようになって、仲が深まっていった」 「正直に言います、ものすごく楽しかったです。彼の方から『好きだ』と言ってくれたんです」 普通の恋愛であれば最高の瞬間である。 が、既婚者のふたりとしては最悪のとば口に立ったといえる。 「私は不倫というより恋愛と思っていました。彼とは身体だけじゃなくて、心も繋がっていましたから」 それは言葉のマジックであり、不倫脳の勃発である。 「彼の奥さんが気づいて、興信所依頼し、ホテルに入るところも全部撮られていました」 男は逃げた。 男女の関係はふたりの意志が必要だが、終わりは片方の意志だけで決まる。
<神尾> 既婚の51歳、女性はそろそろ更年期に差し掛かる。 ところが、女を捨てたわけではなく、男を見る目は女そのものである。 男性も同じだ。 いくつになっても、妻以外の女に目をキョロつかせる。 そんな男と女に、チョットしたきっかけがあれば、磁石のプラスとマイナスが引き合うように、ピッタリくっついてしまう。 それを恋だ愛だと勘違いし、不倫の言い訳にして、自分を正当化する。 それが、ただ性の衝動でしかなかったと気付いたとき、男は逃げ、女は縋(すが)る。 不倫の代償は大きく取り返しがつかない。 最大の被害者はそれぞれの子供たちであり、最大の敵は相手の妻であり自分の夫で、相手の夫であり自分の妻である。 火遊びは、手をかざす焚火程度にしておくことだ。
2026.2.11
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