昨年12月14日のエッセイで「少子化は未婚化・晩婚化にあり」を書いた。 今回は「求められる少子化対策」について書こうと思う。 『日本経済新聞』2025.12.16の「やさしい経済学」で、明治大学准教授・鎌田健司氏がまとめている。
――――――――――――
出生率が上昇するために必要なポイントは2つある。 第一に、25歳前後の出生力があがること。 第二に、子どもを3人以上持つ人が増えること。 3人以上持つためには20歳代での結婚・出産が重要。
4年制大学進学率は6割近くで、25〜44歳の女性の就業率も8割を超える。 結婚すべきという社会的規範も薄れている。
政府が「結婚に必要な状況」を尋ねた。 「経済的に余裕ができること」 「異性と知り合う(出会う)機会があること」 「精神的に余裕ができること」(男性) 「希望の条件を満たす相手にめぐりあうこと」(女性) 「結婚の必要性を感じること」
結婚を実現する主要3条件 「経済的・精神的な余裕」 「出会いの機会」 「結婚の必要性」
未婚者が政策として求める支援 1位「自分もしくはパートナーの雇用機会や収入が安定すること」 2位「結婚後も希望すれば継続して就業できること」 3位「住宅費の軽減などにより結婚後の住宅が確保できること」
――――――――――――
さて、これらを読んでいると、なるほどその通りだ。 ところが、すべてのことに矛盾をはらんでいるように思えてならない。
出生率上昇のために25歳前後の出生力があがること。 とはいうものの、4年制大学を終えた女性が就職し、キャリアを積んでいこうとすれば、結婚して25歳前後で出産するのは、まず不可能だ。 ましてや3人以上出産するためには、子育てのことを考えると、仕事を続けるのは絶対不可能だ。
母子の絆を思えば、わが子を託児所に預けて、通常の勤務をするなど思いもよらない。 結局、わが子をとるか、仕事をとるか、ということになってしまう。
たとえ異性と知り合う機会があったとしても、希望の条件を満たす相手にめぐりあうことなど、あるのだろうか。 そもそも、希望する条件とは何なのだろう。 すべての条件を満たす相手など、この世に実在すると思っているのだろうか。 逆にあなたは、相手のすべての条件を満たすことができるのだろうか。 そのことを考えたことがあるのだろうか。 半分も満たしてくれれば、半分も満たしてあげれば、出来過ぎなのだ。
精神的余裕など、経済的な余裕など、給料をすべて自由にできる独身時代のことだ。 結婚してしまえば、そんな余裕はあるわけがない。 自分も、相手も、家庭を維持するため、子どもを育てるため、忍の一字あるのみだ。 それが結婚するということであり、わが子を持つということなのだ。 子も作らないで、子も産まないで、子を持つことの喜びを知らないで、精神的に経済的に云々するなど、何かが抜け落ちているような気がしてならない。
結婚の必要性など理屈でも何でもない。 ただ、相手のことが好きで、いつも一緒にいたいと思う。 その結果、子を授かる。 それだけのことだ。 あれこれと考えて結婚の必要性を感じない。 そんなことは一度結婚してから口にすることだ。
雇用機会や収入の安定、結婚後も継続就業、結婚後の住宅確保、これらを政府に求めることは当然のことだと思う。 だが、しかし、今この国でこれらのことを期待するのは無理だ。 この国の政府に、これらを実現させる力はない。 大企業からの献金に頼る政府自民党に、庶民のこれらの求めに本気で応える力はない。
2026.1.11
|