中年女性のことである。 彼女は、ある国家資格試験に合格した。 登録を済ませ、その資格を肩書きにした名刺を作ったものの、実務経験は全くなかった。 ところが、彼女は自分の持つ国家資格を尊厳あるものと言い、大変な自信を持っている。
どんな手を使ったのかは知らないが、その資格を足掛かりに、役所の外郭団体の下請け団体から仕事を依頼されることになった。 それは、尊厳ある国家資格者がやるにしては、余りにもおこがましいものだった。 チラシを封筒詰めしたり、ポスターを企業に配って回ったり、企業に専門家を派遣する段取りをしたりするもので、国家資格などなくても出来ることである。 因みに、報酬は交通費を合わせても、高卒初任給に遠く及ばない。
彼女は、そんな役所の小間使い、使い走りに、嬉々として夢中の様子をみせている。 酷い白髪(しらが)を栗色に染め、身に付けるものは日に日に派手になっている。 車まで斬新なデザインのものに乗り換えた。 外泊なども平気である。 そんな中年女のあがきは、傍の見る目も痛ましく、見苦しいものでしかない。
だがしかし、彼女はそれが自己実現だと言い、毎日車で飛び回っている。 彼女は、何のために、自称尊厳ある国家資格をとったのだろうか。 どこが自己実現なのだろうか。
なお、尊厳とは、神や天皇、人命に対して用いるものである。 国家資格を神などと同列に扱うのは、もとより神などの尊厳を傷つけることになる。
2013.9.8
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